当院は、阿蘇地域の災害拠点病院として、災害に対し、次のとおり対策しています。
事業継続計画(BCP)の策定
当院では、平成29年3月に初版を策定し、平成30年3月に改訂を実施しています。災害(地震、豪雨、噴火、大規模交通災害など)が発生した際に患者や職員の安全と、施設、医療設備の機能を確保するとともに、災害拠点病院及び阿蘇地域の中核病院として医療行為の適切な遂行を図ることを目指しています。
免震構造(一部耐震構造)
中央診療棟と病棟の基礎部分には、72基の免震機構(写真)が施されており、震度7の地震にも耐えうる構造になっています。
実際、平成28年4月16日に発生した熊本地震本震(阿蘇地方は震度6強)際も免震構造が機能し、建物や医療設備の被害はほとんどありませんでした。
※免震構造とは、建物の基礎部分に特殊なゴムなどを入れて地盤と絶縁することにより地震の振動を防ぐ仕組みです。
ライフラインの現状
当院は、ライフラン(電源、熱源、給水、医療用ガスなど)について、機器や配線の冗長化を図るとともに、以下のとおり備蓄も行っています。
電源設備
通常時は、電力会社から冗長回線(本線・予備線)にて供給されます。
停電時は、10~20秒以内に非常用発電機(72時間運転対応)が作動します。また、手術室などの重要室については無停電電源設備にてバックアップします。
熱源設備
油焚無圧式温水発生機を2機設置し、非常用発電機のオイルタンクと兼用で災害時油3日分備蓄しています。
空調設備
空調は、電気式ビル用マルチパッケージエアコンを使用しています。(発電機によるバックアップは無し)
重要室(手術室等)のみ無停電電源設備にてバックアップしています。
換気については、油ボイラーと発電機によりバックアップされています。
給水設備
上水は、受水槽(30t:通常時0.5日分・災害時使用量2日分)と加圧給水ポンプを備えています。
雑用水は、地下ピット水槽(70t:通常時1日分・災害時使用量1.5日分)と加圧給水ポンプを備えています。
地下水は、地下からの汲み上げ式により浄化タンクを経由して、受水槽・地下タンクに90t/日の給水が可能です。
医療用ガス
当院に整備している自動制御監視システムと保守委託業者による遠隔管理システムを併用することにより、非常時の際に早急に対応できるシステムを備えています。
通信設備
電話、院内PHS、インターネットは非常用発電機に接続されていて、発電機が作動中で上位回線に障害が発生していなければ停電時でも使用可能です。また、その他の通信手段として衛星電話(docomo)も保有しています。
エレベータ
エレベータは常用2回線と自家発電機1回線の計3回線の冗長受電設備になっています。また、エレベータ本体にもバッテリが搭載されており、停電時でも稼働するシステムになっています。
食料・飲料水
入院患者さんと外来患者さん用の食料・飲料水を常時3日分備蓄しています。また、1Fに設置してある一部自動販売機では、災害時に無料で提供できる仕組みになっています。
災害用備蓄品
当院は、入院患者さんと外来患者さん用の食料・飲料水を常時3日分備蓄しています。また、1階に設置してある自動販売機ではメーカーの協力のもと、災害発生時に30日間もしくは1万杯の飲料を無料で提供できます。
災害拠点病院としての役割を担っています
熊本県災害拠点病院として阿蘇医療圏の中心的な役割を担っています。
災害派遣医療チーム:DMAT(Disaster Medical Assistance Team)
当院では、医師2名、看護師4名、業務調整員3名の計10名が日本DMAT隊員として登録されています。
DMATとは「災害急性期に活動できる機動性を持ったトレーニングを受けた医療チーム」と定義されており、災害派遣医療チーム「Disaster Medical Assistance Team」の頭文字をとって略してDMAT(ディーマット)と呼ばれています。
医師、看護師、業務調整員(医師・看護師以外の医療職及び事務職員)で構成され、大規模災害や多傷病者が発生した事故などの現場に、急性期(おおむね48時間以内)に活動できる機動性を持った、専門的な訓練を受けた医療チームです。
阿蘇医療センターDMATの活動
災害に備えて様々な訓練や研修に積極的に参加し、災害時に対応できるようにしています。
2018年度の活動実績
- 衛星電話伝達訓練(月1回)
- 阿蘇医療圏EMIS入力訓練(月1回)
- 阿蘇火山防災訓練(多数傷病者受入机上訓練)(年1回)
- 政府総合防災訓練(年1回)
- DMAT技能維持研修
- 熊本県災害医療ロジスティックス研修
- 九州・沖縄ブロック災害医療ロジスティックス研修