●緩和ケアにおける歯科口腔外科の役割
私たち歯科スタッフは、緩和ケアチーム内では歯科口腔領域の専門職として活動します。特に緩和ケア中の口腔内の主な特徴である口腔剥離上皮膜などを除去して口腔環境を改善する口腔ケアの指導的役割を果たしています。
- 患者さんの全身症状や治療計画をあらゆる視点から把握しつつ、口腔アセスメント(例,口腔内の環境の状況および疾患の有無の精査など) を立案します。
- 依頼者である担当医・病棟スタッフやチームメンバーに対して、 問題解決につなが る歯科口腔の情報を提供します。
- 緩和ケアの一環として、特殊な口腔内環境における口腔ケアに関して必要に応じてチーム内に周知します。
●緩和ケア中の患者さんの口腔トラブル
- 身体的苦痛:口腔乾燥や口腔内の痛み、感染症などが挙げられます。
- 精神的苦痛:味覚異常などで『食べる楽しみ』が徐々に無くなっていき、経口摂取量が低下していきます。
- 社会的苦痛:口臭、口腔乾燥、痛みにより会話がなくなり、周囲とのコミュニケーションを取らなくなっていくことで、抑うつや疎外感を感じるようになります。
以上のことから、口腔トラブルは、口の中の問題にとどまらず、『QOL(生活の質)』を大きく低下させる要因になっていると言われています。
歯科口腔外科スタッフによる専門的口腔ケアの実際
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乾燥してこびりついている分泌物、剝がれ落ちた粘膜、痰などが粘膜に強固に付着 (これを口腔剥離上皮膜と呼びます)
これを放置すると感染症のリスクが増大し、苦痛の悪化、QOLの低下につながるため、口腔内を適度な湿潤環境に保つことが重要となります。
歯科口腔外科スタッフによる専門的口腔ケアの実際