~当院ではがん患者さんの生活機能とQOLの改善を目的に、希望・要望を尊重しながら身体状況に合わせてリハビリテーションを行っています~
●がん薬物療法、手術前・手術後のリハビリテーションは全身調整運動
がん薬物療法では、副作用として食欲低下や倦怠感などがあり、活動性の低下を引き起こします。そのためがん薬物療法の施行前、もしくは施行中に可能な範囲での体力維持のための運動療法(有酸素運動)を行います。また、手術前のリハビリテーションでは、術後に向けての排痰訓練や呼吸法の指導を行っており、手術後は早期離床による廃用予防などを意識したリハビリテーションのプログラムを提案しています。
●緩和ケアはQOLを大切に
緩和ケアは、積極的な治療をしなくなった患者さんに余命をいかに自分らしく過ごしてもらうかが焦点となります。痛みや食欲・体力低下により活動範囲が狭くなった患者さんに対し、身の回りの動作をできるだけ自分で行えるよう支援し、日常で行える自主訓練などを提案しています。退院後の自宅療養を予定している方には、福祉用具の導入や家屋評価などを行い、退院後もできる限り自立した生活を送ることができるようサポートします。
がん患者さんのリハビリテーションの内容
*治療後の社会復帰(すべてのがん)
*廃用症候群の予防・改善(抗がん剤治療・放射線治療患者、進行がん患者)
*術後呼吸器合併症の予防・改善(肺がん等、全身麻酔後)
*嚥下・発声障害の予防・改善(すべてのがん)
*運動・脳機能障害の予防・改善(脳腫瘍、脳転移)
*運動器障害の予防・改善・克服(整形外科領域のがん)
*リンパ浮腫・肩運動障害の予防・改善(乳がん、婦人科領域のがん)
がん患者さんのリハビリテーションの具体例
「呼吸リハビリテーションによる呼吸困難感の軽減」
※呼吸法の指導、呼吸介助、呼吸筋等の強化、リラクセーション
「リンパ浮腫に対してのむくみ緩和」
※圧迫下での運動療法、リンパドレナージュ、浮腫対策での生活指導
「身体的疼痛を和らげる」
※物理療法やリラクセーション、装具や電動ベッドの使用
「嚥下機能の維持、改善」
※嚥下評価、嚥下訓練、日中のポジショニング指導
「精神面への対応」
※リハビリテーション介入時に入院中や退院後の不安や要望の聴取
リハビリテーション介入件数
がん患者さんへのリハビリテーション介入件数はグラフのとおりとなっています。